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土着品種バルベーラ
当社ワインアドバイザーである永瀬氏が、普段イタリアワインを扱っている皆さんにイタリアワインをより深く知っていただき、お客様とのコミュニケーションに活かしていただきたいとの思いで準備した企画です。
日本でもよく知られているブドウ品種やアペラシオンを改めて深く掘り下げたり、日本ではまだまだ知られていない注目すべき地域やワインについて伝えていただきたいと思います。
店舗でのサービス時にお客様との会話のきっかけになる内容を『今日から使えるセールストーク』と題してシリーズ化していきたいと思います。このコラムを通してお客様と通ずる何かのきっかけになっていただけたら幸いです。
第1回目は、先日の試飲会でも大好評だった土着品種「バルベーラ」
今回の知っていただきたいテーマは『地区ごとのバルベーラの違い』
◎セールストークは、、、、
モンフェッラート地区のバルベーラ⇒
『フローラルでチャーミングな果実味が感じられる軽やかなタッチが特徴』
アスティ(Nizza)地区のバルベーラ⇒
『鮮やかな酸味と果実味が調和する華やかな余韻を持つ』
北イタリア・ピエモンテ州のブドウ品種というイメージが強いかもしれませんが、実際にはロンバルディ州をはじめ、広い地域で栽培される収穫量の多い黒ブドウ品種です。
ブドウ品種個性として、凝縮感のある果実味と高い酸がしっかりとしており、タンニンが控えめなことも特徴として挙げられます。
石灰や砂質を中心とした水捌けの良い土壌に適しており、理想的な環境で育ったブドウから造られるワインは華やかで、伸びのある酸味としなやかなテクスチャーがバランスよく果実味と調和します。
日本の市場では、ランゲ地区の生産者が造るバルベーラ・ダルバが主流ですが、本来のバルベーラの聖地と呼ばれる生産地はアスティ地区です。
テッラ・ビアンカと呼ばれる石灰質中心の白い土壌で日照量も多いことから果実味が充実しつつ、標高も高いために涼やかな酸味が生まれます。
一般的なバルベーラのイメージは、程よく円やかでコクのある凝縮した果実味が感じられるワインではないでしょうか?
これは粘土石灰質を中心としたランゲ地区で造られるワインの特徴であり、味わいの違いは醸造方法により生まれると言っても過言ではないでしょう。
☆モンフェッラート地区
『フローラルでチャーミングな果実味が感じられる軽やかなタッチが特徴のワイン』
ブドウ本来の魅力がより活かされるのは、そのランゲ地区から東にあるモンフェッラート地区です。
フローラルでチャーミングな果実味が感じられる軽やかなタッチとなるモンフェッラート地区のワイン。
濃くてしっかりとしたワインではなく、フレッシュな酸味を基調とする香り豊かな赤ワインは肉料理だけでなく、魚料理との相性も期待できます。
☆アスティ(Nizza)地区
『鮮やかな酸味と果実味が調和する華やかな余韻を持つワイン。』
そしてその中でも特に重要な産地としてNizzaが独立してDOCGに認定されました。
これまでにNizzaのワインを経験された方も多いと思いますが、全体的に樽熟成による個性を持ったワインが多いことにお気づきでしょうか?
バリックと呼ばれる小樽での熟成を経て瓶詰めされたワインが多く、ワインはまだ発展途上の段階にあると言えます。
90年代スーパーワインブームの頃と比べて近年のワインは樽のニュアンスが控えめに傾向ですが、Nizzaに樽熟成のニュアンスが感じられるのには理由があります。
ピエモンテ州で「バローロ・ボーイズ」と呼ばれた生産者がワインの熟成においてバリック(小樽)を使用し始めたことは有名ですが、のちにタンニンの強いネッビオーロやドルチェットなどは相性の問題から使用頻度が少なくなっていきました。
ただし高い酸と充実した果実味を持ちつつも、タンニンの控えめなバルベーラは小樽での熟成を経て素晴らしいワインとなることが分かったのです。
この経験をもとに、Nizzaのワインは10~15年先の熟成を見越して小樽での熟成を施す生産者が多いことも知っていただけたら嬉しいです。
ワインの質においてブドウ本来のポテンシャルに合わせた醸造と熟成のバランスは重要であり、すべてのバルベーラが長期の樽熟成に適してるかを見極める必要もあります。
今までBarbera d’Albaだけのイメージで留まっていたのであれば、是非d’AstiやMonferrato、Nizzaを使い分け新たなお勧めワインとしてご紹介頂きたいと思います。
次回以降もイタリアワインを掘り下げていきたいと思います。