『時代の変遷とともに変わりつつあるネッビオーロのペアリング。』

時代の変遷とともに変わりつつあるネッビオーロのペアリング。


このコラムがサービス時のお客様との会話のきっかけに、また、お客様と通ずる何かのきっかけになっていただけたら幸いで




◎セールストークは、、、、


今までのネッビオーロ長期熟成の重厚なワインというイメージ

=『肉の煮込み料理や、チーズなどの乳製品を多く含む、重い料理とのペアリング』

これからのネッビオーロ:しなやかで伸びのある酸味、きめ細やかなタンニンがあることで油分や水分を吸収し、引き締まった味わいを持つ

『フレッシュで若々しく飲めるネッビオーロが増え、ネッビオーロのペアリングの幅が広がる』



北イタリア・ピエモンテ州が主な生産地域ですが、ロンバルディ州やヴァッレ・ダオスタ州、サルデーニャ州でも栽培される黒ブドウ品種です。


ブドウ品種個性としては、しなやかで豊富なタンニンと高い酸が充実しており、色調も淡く程よい果実味を持つことが特徴として挙げられます。粘土石灰質土壌を好みますが、土壌や生育環境の影響を受けやすいので、砂質や花崗岩など違う土壌で造られるワインの個性も興味深いと思います。

実際に今まで主流であったランゲ地区のネッビオーロだけでなく、アルト・ピエモンテと呼ばれる北部地区のネッビオーロにも注目が集まっています



もう一つ、ネッビオーロには「ランピア」と「ロゼ」という2種類のバイオタイプが確認されており、以前バイオタイプの1つと考えられていた「ミケ」は「ランピア」が病害に侵された際に品質変化して、ブドウの粒が小さくなったものだと判明しました。

バローロやバルバレスコには「ランピア」が使用されますが、日本で栽培されるネッビオーロの多くは「ロゼ」のタイプであり、色調がより淡くストラクチャーも控えめになるようです。

 

ワイン醸造の歴史は古く、かつてはネッビオーロが持つ強固なタンニンと酸を和らげ、“飲み頃”として市場にリリースされるまでに、大樽で長い時間の熟成が必要と思われていたようです。それだけの忍耐を迫られながらも、色調が淡くタンニンの強いワインは容易に受け入れがたく、生産者は苦しい生活を強いられていました。


一方でピノ・ノワールから華やかなワインを造るブルゴーニュの生産者は裕福な生活を送っており、自分たちのワインに自信を持っていた有志達はその違いを確かめるためにフランスへと視察に出掛けたのでした。



後にバローロ・ボーイズと呼ばれる人達は、伝統を重んじる人達と衝突を繰り返しながら、様々な改良を試して今日の名声を得たのでした。この衝突は伝統派VS革新(モダン)派のように語られていましたが、試行錯誤の中で生まれた事柄を上手に取り入れた現代派が主流となり、バローロ・ボーイズと呼ばれた世代の人達のワイナリーでも徐々に世代交代が行われています


情報化社会とグローバル化の時代に生きる世代は、先輩たちの功績をより深く研究して昇華させつつ、トレンドに合わせたワイン造りを模索しています。バリック熟成の割合や期間を減らし過剰なタンニンがワインに移らないようにしたり、木樽の材質やリフレッシュ(清潔度)に気を配る。更には現代の軽やかな食のトレンドに合わせてネッビオーロのスパークリングワイン樽熟成を経ない若々しいワイン造りも増えつつあります


 今まではネッビオーロ=長期熟成の重厚なワインというイメージが強く、ペアリングを考える際には肉の煮込み料理や、チーズなどの乳製品を多く含む、重い料理を思い浮かべたのではないでしょうか?


時代の変遷とともに食文化にも変化が生まれ、私自身も現地でイカ墨パスタやトマトソースとネッビオーロのペアリング提案に驚きや発見を幾度となく体験しました。ネッビオーロは果実味が控えめなので食事の味わいを大きく変化させることなく、しなやかで伸びのある酸味が食べ応えを軽やかにしてくれます。さらにきめ細やかなタンニンがあることで油分や水分を吸収し、引き締まった味わいを感じさせる作用を持ちます。


フレッシュで若々しく飲めるネッビオーロが増えたことでイタリア料理だけでなく、糖分や味噌などを使う和食、オイルや辛みを効かせたエスニックなどとの相性も是非探って試してほしいと願っています。



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