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ブドウの果実味を凝縮させる方法の1つとしてよく知られる「パッシート」について
ペアリングを考える際に、ワインのストラクチャーとしてボディだけでなく、果実味の凝縮度も重要なポイントになります。
今回はブドウの果実味を凝縮させる方法の1つとしてよく知られる「パッシート」についてお話したいと思います。
今回の知っていただきたいテーマは
貴腐や氷結など、特殊な環境で生まれるブドウの“脱水効果”と違い、ブドウの収穫後に人の手によって「陰干しによる脱水」をする手法をイタリア語でパッシートと呼びます。
ブドウを吊るしたり、棚に並べたりして風によるブドウの乾燥を促進し、ブドウの水分が減少することで果汁比率が上がり、凝縮した果実味を得ることが出来ます。
イタリア国内だけでも、多くのエリアでこの手法によるワイン造りが行われており、地域により呼び方や個性、由来が異なるのも興味深く、ブドウ品種や陰干しの時間、ワインの製法による違いも様々なので、今回はペアリングを中心にご紹介していきましょう。
このコラムがサービス時のお客様との会話のきっかけに、また、お客様と通ずる何かのきっかけになっていただけたら幸いです。
◎覚えておきたいセールストークは、、、、
【レチョート】:糖度の高い部分を陰干ししてから白・赤両方のワインが造られる。
白ワインはガルガネガ種を主体とした、オレンジや洋ナシのようなニュアンスのある、少し軽やかな甘口ワイン。
ペアリング:フルーツやパンケーキのようなデザート、牡蠣のリゾットや甲殻類のトマト煮込み。
赤ワインはコルヴィーナ種主体で、心地よいほろ苦さを含んだ甘口ワイン。
ペアリング:カカオをイメージしやすいワインなので、チョコレート類のデザートやあん肝のムースなどのソース代わりに。
【アパッシメント】:120日ほどの陰干しを経て、30~40%の水分を失った果汁からアマーロの語源でもある苦みを伴った味わいで、世界で最も長期熟成が可能な辛口赤ワイン。
ペアリング:アマローネを使ったリゾットや馬の煮込み、ラディッキオなど苦み野菜とチーズを使った料理、ジビエ肉のラグーソースパスタ。
【スフルサート】:陰干しを経て造られる辛口赤ワインがロンバルディア州のヴァルテッリーナ渓谷で造られる。赤ワインのみで、標高が高く冷涼な畑で栽培されるネッビオーロは酸の保有率も高く陰干しに向いており、アマローネと比べてしなやかな酸味とブドウ品種個性であるタンニンがしっかりと感じられる。
ペアリング:ジビエ肉のローストや煮込み、鴨肉のローストなど鉄分の多い赤身肉に程よい甘味を加えるような優雅なペアリング。
最初にワインはヴェネト州で造られるReciotoと呼ばれるワインです。
ブドウの岐肩の部分を指す語源があり、糖度の高い部分を陰干ししてから白・赤両方のワインが造られます。
白ワインはガルガネガ種を主体とした、オレンジや洋ナシのようなニュアンスのある、少し軽やかな甘口ワインです。生産地域によりワインい含まれるミネラル分の違いがあり、フルーツやパンケーキのようなデザートのみならず、牡蠣のリゾットや甲殻類のトマト煮込みなどに合わせても面白いでしょう。
赤ワインはコルヴィーナ種主体で、心地よいほろ苦さを含んだ甘口ワイン。カカオをイメージしやすいワインなので、チョコレート類のデザートやあん肝のムースなどにソース代わりのような提案もお勧めです。
次に同じヴェネト州で「アパッシメント」により造られるワイン。
代表的なアマローネは、前述のレチョートワインの製造過程において、途中で発酵を止め忘れて辛口になってしまったというハプニングによって生まれたワインと言われています。
120日ほどの陰干しを経て、30~40%の水分を失った果汁からアマーロの語源でもある苦みを伴った味わいで、世界で最も長期熟成が可能な辛口赤ワインと言われています。甘味が先行するワインも多くみられますが、大切な事は苦みが保たれていることであり、近年は華やかさとほろ苦さがエレガントに共存するワインに注目が集まっています。
現地ではアマローネを使ったリゾットや馬の煮込みなどと一緒に供されますが、ラディッキオなど苦み野菜とチーズを使った料理、ジビエ肉のラグーソースパスタとも相性が良いと思われます。
アマローネと同じように、陰干しを経て造られる辛口赤ワインがロンバルディア州のヴァルテッリーナ渓谷で造られています。全てのワインではなく「スフルサート」と呼ばれる赤ワインのみで、標高が高く冷涼な畑で栽培されるネッビオーロは酸の保有率も高く陰干しに向いており、アマローネと比べてしなやかな酸味とブドウ品種個性であるタンニンがしっかりと感じられるのが特徴です。
ジビエ肉のローストや煮込み、鴨肉のローストなど鉄分の多い赤身肉に程よい甘味を加えるような優雅なペアリングが楽しめます。
歴史的にはタンニンが厳しかったり、高い酸味があったりと、一般的な醸造ではやや飲みにくさを感じるブドウを陰干しして円やかにしたワインも多かったようです。
今回紹介した以外にも、ウンブリア州のサグランティーノをはじめ、ピエモンテ州のコルテーゼ、アルネイズ、フリウリ地方のピコリット、中部イタリアのアレアティコに南イタリアのファランギーナなど、土着品種から造られる陰干しワインも多くあります。
寒い季節には苦みが美味しい食材も多くなり、苦みと甘みの相互関係はとても重要です。牡蠣やあん肝、ラディッキオや黒トリュフなど・・・辛口ワインだけでない新たなペアリングにも挑戦していってください。