オレッキエッテ・コン・チーマ・ディ・ラーパ


々食材と向き合っている皆様は特に、厳しい寒さが和らいでくるこの時期になると、旬を迎える様々な食材からも春の訪れを感じることがあると思います。

そんな春の息吹を感じる食材の一つに、菜の花があります。


料理を彩る鮮やかな緑色、噛み締めたときのあのほろ苦い味わいは、旬の食材をうまく取り入れるイタリア料理とも相性バッチリですね。

そこで今回は、春の到来をより楽しむための、菜の花を使ったイタリア料理とワインのペアリングを見ていきたいと思います。

 


菜の花は、イタリアでは「チーマ・ディ・ラーパ(Cima di Rapa=カブの先っぽ)」と呼ばれます。

チーマ・ディ・ラーパは、厳密にはイタリアのカブの菜の花のことを指し、イタリアの代表的な冬野菜の一つですが、旬は日本と同じで冬から春先にかけてです。

この野菜は、イタリアでも地域によって呼び名が変わり、ナポリでは「フリアリエッリ」、トスカーナでは「ラピーニ」、アブルッツォでは「ラペッタ」と色々な名前があります。

一般的な呼び名の「チーマ・ディ・ラーパ」は、一大生産地であるプーリアのものになります。

本来は、菜の花の部分のことをチーマ・ディ・ラーパと呼びますが、イタリアのスーパーで見るのは菜の花ではなく、葉の部分であることが多いです。

カブの菜の花であることと葉の部分ということで、チーマ・ディ・ラーパは日本の菜の花と比べると少し酸味と苦味がやや強いです。

そのため全く同じ調理方法にしても同じ味にはなりませんが、食材の特徴をどうイタリア料理に活かしていくかは、現地イタリアでのチーマ・ディ・ラーパの使い方を見ることで、大変参考になると思います。

 


イタリアでも、チーマ・ディ・ラーパは生で食べることはなく、加熱して食べられます。

具体的な調理方法は多く分けて2通りで、茹でることと、フライパンなどで炒めたり炊いたりすることです。

料理に使うとその持ち味を発揮するチーマ・ディ・ラーパは、茹でると柔らかさと甘みが増し、日本の菜の花に近い食感となります。

この柔らかい食感にニンニクが香るオリーブオイルを含ませるのが、イタリア料理ならではの魅力ですね。

この調理法で作られるチーマ・ディ・ラーパを使った有名な料理としては、プーリア州の郷土料理「オレッキエッテ・コン・チーマ・ディ・ラーパ」があります。



一方、下茹でせずに炒めたり炊いたりすると、その香りとほんのりとした苦味、酸味を十分に味わうことができます。

こちらは、カンパーニャ州の「ストゥファート」という、たっぷりのオリーブオイルで蒸し煮にしたチーマ・ディ・ラーパを、サルシッチャと一緒に食べるという郷土料理もあります。

 



菜の花を使ったイタリア料理とワインのペアリング

 

●菜の花のポルペッティーネ


菜の花の独特の苦みと、ジャガイモの甘さとチーズの風味が詰まった料理です。

フリットにすることで、気軽につまめるように仕上げています。


ポルペッティーネはひき肉は使わず、柔かく茹でて水気を絞った菜の花の他に、卵、茹でてすり潰したジャガイモ、そしてパルミジャーノレッジャーノとペコリーノチーズを混ぜて、3cmほどの大きさに丸めた上で、フリットにしています。

シンプルな素材の味わいが楽しめる、アペリティーヴォや前菜に最適な料理です。

 

ピノ・ビアンコ・フリウリ

生産者:レ・モンデ

生産地:フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア

ブドウ品種:ピノ・ビアンコ


春野菜の苦味、青臭さに合わせるワインは?と聞かれると、イタリア北部のピノ・ビアンコはオススメです。

ピノ・ビアンコのアロマと味わいはニュートラルで、イタリアの個性的な地場品種と比べると地味だと捉えられがちです。

しかし、春野菜の苦味や青い風味と合わせるにはうってつけの白ワインだと言えます。

イタリアで高い品質のピノ・ビアンコが収穫できる場所といえば、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアかアルト・アディジェ地方です。

こちらのワインは、熟したパッションフルーツ、白桃、甘いスパイスのような芳醇なアロマ、なめらかな口当たりで、きれいな酸味と絶妙なミネラル感由来の塩味のバランスが取れた、複雑な味わいです。

https://www.kameyaweb.co.jp/aec/user/shohin_detail??item_cd=35351



ミュラートゥルガウ・パライ

生産者:ポイエル・エ・サントリ

生産地:トレンティーノ

ブドウ品種:ミュラー・トゥルガウ


ミュラートゥルガウの柔らかな酸味、口当たりがよく爽やかで優しい味わいも、春野菜の風味とうまく調和します。

ポイエル・エ・サントリは、地場品種ノジオラの第一人者で、この地域を代表する造り手として知られています。


ポイエル・エ・サントリでは、土壌と標高の組み合わせによって、それぞれの畑の個性に合わせた品種を栽培しています。

標高550~750mの南西向き斜面に位置する単一畑「パライ」は乾燥した場所にあり、ドロミテ渓谷の白い石灰岩が主体の土壌です。

収量を落とすことで成分が凝縮した、スレンダーでアロマを活かしたミュラートゥルガウを生み出します。

レモングラス、セージ、白い花のようなチャーミングでアロマティックな香りと酸味とのバランスが素晴らしいワインです。

https://www.kameyaweb.co.jp/aec/user/shohin_detail??item_cd=14604

 


菜の花とサルシッチャのピッツァ

ナポリで「フリアリエッリ」と呼ばれるチーマ・ディ・ラーパは、現地のナポリでは焼いたサルシッチャと合わせてよく食べられます。

そんなナポリのピッツェリアでは、マルゲリータに次ぐ定番が「Pizza Salsciccia e Friarielli」、つまり菜の花とサルシッチャのピッツァです。

サルシッチャの旨みと塩味、菜の花のほろ苦さ、そしてモッツァレッラのコクが三位一体となって絶妙にマッチします。

 

トロイア・ロザート

生産者:カイアッファ

生産地:プーリア

ブドウ品種:ネーロ・ディ・トロイア


ビオロジック農法で栽培された、プーリアの地場品種ネーロ・ディ・トロイアで造られるロゼワインです。

ネーロ・ディ・トロイアは、プリミティーヴォ、ネグロアマーロと並び、プーリアの三大黒ブドウとも呼ばれる、歴史の古いブドウ品種です。


栽培面積が限られており、タンニン分が強く使いこなすのが難しいブドウ品種と言われていましたが、最近になって本格的に研究され始めたブドウ品種でもあります。

造り手のカイアッファは、ブドウ栽培農家4代目の6人兄弟が2015年に自社ボトリングを始めたプーリアの新星ワイナリーで、プーリアの土着品種から、他にはないエレガントな味わいのワインを造り出すことで注目を集めています。


ワイナリーをスタートさせた時点ですでに有機認証を取得しており、現在でもビオロジックがワイナリーのベースであるという徹底したポリシーでワインを造っています。

畑は海からわずか4キロに位置しており、砂を多く含んだ粘土質土壌、豊富なミネラル、フレッシュでドライな味わいをもたらします。

自然酵母で発酵、3ヶ月以上のシュールリーでタンク内熟成、ボトリング後、2ヶ月の瓶内熟成。

チェリーなどの赤い果実や爽やかなハーブの香りがあり、しっかりとした果実味に加えて、海風の影響を受けることで、ワインにフレッシュでドライな味わいももたらしています。

https://www.kameyaweb.co.jp/aec/user/shohin_detail??item_cd=36105



菜の花のオレッキエッテ


柔らかくした菜の花は、やはりニンニク、アンチョビ、オリーブオイルで味付けしてパスタソースにするのが定番ですね。

モチモチした食感のオレッキエッテとは相性抜群です。

サクラエビ、ホタルイカ、帆立貝といった魚介類と合わせても、より味わいにコクと旨みが出て美味しくなります。

 

ヴィニェーティ・ディ・フォスカリーノ・ソアーヴェ・クラシコ

生産者:イナマ

生産地:ヴェネト

ブドウ品種:ガルガーネガ


菜の花のほろ苦さに合わせるワインを考えると、ソアーヴェをイメージされる方もいるかもしれません。

ガルガーネガが持つフレッシュな酸味とミネラル感、余韻に残るほのかな苦味は、菜の花と相性バッチリです。


ソアーヴェは安くて軽いデイリーワイン、というイメージを大きく覆した造り手の一人が、このワインを手掛けるイナマです。

「フォスカリーノ」という、火山性土壌の斜面にある最上の畑のブドウを厳選し、樹齢40年以上の樹から収量を抑えて完熟したブドウを使用。

さらにイナマは、ソアーヴェでは初めて樽発酵・樽熟成も行った生産者としても知られています。


凝縮した力強い風味とミネラル感を備え、よりリッチな風味もソアーヴェで表現しています。

土壌に由来するミネラル、黄色い花やフルーツ、オレンジにハーブを想わせるアロマ、豊かな口当たり、マイルドでまろやかな舌触り、複雑な味わい、後味にはアーモンドのようなニュアンスが残ります。

https://www.kameyaweb.co.jp/aec/user/shohin_detail??item_cd=22001

 


菜の花は、その彩りや調理のしやすさも含めてイタリア料理に取り入れやすく、そのほろ苦い味わいもいいアクセントになります。

その菜の花をうまく取り入れて、春の到来を料理とワインでうまく表現できるといいですね。


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