永瀬氏の『ワイントピックス』① ~ペアリングを考えたワイン選びのヒント~



弊社ワインアドバイザー永瀬氏のワイントピックス「ペアリングを考えたワイン選びのヒント」


試飲会等で皆様とお話をさせていただく時に、ワイン選びについて最も多い質問が旬の食材とのペアリングです。

 

お客様のお好みに寄り添いながら、ペアリングの考察なども含めて、お客様の好奇心をき立てるワイン提案が出来れば、またこのお店でワインが飲んでみたいと思っていただける絶好の機会となるはずです。


前回はハウスワインなどの定番的なお勧めワインを選ぶヒントをお話しさせていただきましたが、今回は食事とのペアリングにフォーカスを当てて、これからの時期に考えられるワイン選びのヒントをお話ししたいと思います。



まずペアリングを考える際に重要な事は、食材そのものがどのような個性を持っているかを捉えることです。

例えばこれからの時期に春の食材と言うイメージからすると食材はフレッシュ感に溢れ山菜やたけのこのように心地よい苦味のある食材やアスパラガスやそら豆、芽キャベツなど甘さを感じるような旨味をもつ野菜。



魚介類で言うとホタルイカや桜エビ、白魚など肝の旨味や香ばしさ、塩味のしっかりとした食材や旨味に直結する出汁を生み出す様々な種類の貝類も多くお店でお勧め料理として登場するのではないでしょうか。これらの食材は比較的柔らかな食感を持ち、瑞々しさが保った食材とも言えます。



次に食材をどのように調理することが多いのか、また一緒に添えられる食材はどのようなものが多いのかということも考慮していきたいポイントになります。基本的に春の食材はシンプルに仕上げられることが多く、重たいソースよりは塩やオリーブオイルといったイメージが合うのではないでしょうか。


このように最初に食材の個性とその個性を生かすための料理法を捉え、合わせたいワインの全体像が近いものを候補に挙げていきます。その際にイタリア現地で同じような食材や料理が作られる場所があるのであれば、その地

域のワインを候補に挙げるというのも1つの選択肢にになるでしょう。



実際には山菜やホタルイカといった食材はイタリアではあまり見られないかもしれませんが、トスカーナやウンブリアなどには豆類や多くの野菜を使った料理が散見されます。

白魚や桜エビと言う観点からは、海沿いのカンパニア州やプーリア州、マルケ州にリグーリア州など魚を使った料理が有名である場所をイメージしていきます。

 


ペアリングの際に重要なのは、料理と合わせるワインの味わいをお客様に食べて頂きたい味わいへバランス良く整える事です。

特に程良い苦味が個性とされる春の食材では、その苦味を強調させたいのであれば同様の心地よい苦味を持つワインを合わせる、逆に苦みを和らげたいのであれば柔らかな口当たりと凝縮した果実味があるワインを選択するという方向性があります。


さらにフリットなど、油脂分を多く含む料理にするならば酸が高い方が口中をスッキリさせることも出来、柑橘の香りを使う料理であればフレッシュ感に溢れる爽やかなワインが良いでしょう。


また土のニュアンスに似た滋味深い味わいに合わせるのであれば複雑味という観点でオレンジワインやロゼワインのとの相性もぜひ考えていきたいところです。


今回考察した春の食材は、前菜やパスタ料理に使われることが多いだろうという想定の下に全体的には軽やかなストラクチャーで爽やかな酸味のあるフレッシュ感があり、料理の苦味に呼応した果実味のあるワインでものが良いと思われます。

実際に色々と試していただき、狙いの定まったペアリングを見つけてくださることが何よりです。



このような考え方からワイン選びをする際に、以下にお勧めするワインも候補にいれてみてはいかがでしょうか?