冬にぴったりな食事が並ぶ、ヨーロッパのホームパーティー

今回は、冬場に味わう料理を囲んだホームパーティーをご紹介します。

ヴェネト州にある小さな町では狩りをしてきたイノシシ肉を自宅でアレンジ、カステロフランコでは伝統料理とヴェネト自慢のワインを味わう、そしてミラノから2時間の距離にあるイギリス、ノッティングヒルではラクレッテマシーンを使用してチーズをたっぷりいただきます。



小さな町ロニーゴで狩ってきたイノシシ肉をいただく


ロニーゴ市は、ヴェローナ市から車で約30分の距離にある小さな町です。


人口は、17000人と少ないですが、町の中心には大聖堂が佇み、町中には、川が流れアルプス山脈が眺められる静かな町です。小さなスクエアはまるでおとぎ話に出てくるような可愛らしい町並です。


ロニーゴ市に住んでいるジュゼッペさんの趣味は「狩猟」。猟師のライセンスを持っており、秋から冬になるとイノシシ狩りに行きます。

今回は、トスカーナにある「Gosseto」という町へ行きました。このエリアでは、毎年11月1日から1月31日までイノシシ狩りが可能です。


40~50人のグループで、時には犬も参加します。まだ暗い日の出る前に山へ向かい、辺りが明るくなりイノシシが朝の食べ物を探しに活動し始めた頃を狙います。

人数が多いですがグループごとにエリアがあるので、間違えて仲間同士を打つことはありません。

そして、一日で約10?15頭のイノシシを仕留めます。同行している獣医が、イノシシに病気がないか、バクテリアに感染していないか確認をして、現地で血抜き、解体を行います。

実際、ハンティングにかかる時間は2時間ほどで、後の時間は、解体を担当者に任せ仲間同士でワインを飲み、食事を楽しんで半日を過ごすそうです。


狩りをしてきた肉は、少ないときで10kg、多い時で40~45kg持ち帰ることがあります。そのため、ジュゼッペさんの自宅で毎年イノシシ肉を使用したホームパーティーを開催しています。


狩ってきたイノシシは、ジュゼッペさんの奥様カーラさんがイノシシ独特の味を活かした料理を作ってくれます。

前日からマリネをして、自然で生活しているイノシシ独自の匂いを取り除きます。


プリモは「Tastasaleを使用したリゾット」

Tastasaleは、このエリアの伝統食材で新鮮な豚ひき肉を使用したサラミに似ています。ブロースは、鶏肉と牛肉さらに野菜を3時間煮込んで作ります。


セコンドは「トマトソースでじっくり煮込んだイノシシ肉の赤ワイン煮」


独特の臭みを取り除くには、ハーブを使用することがおすすめ。

イノシシ肉は、ハーブやワインなどと一緒にじっくり煮込まれるとホロホロ柔らかくなり臭みはなく旨味だけが残ります。ジューシーさもあり、脂身が本来の味を引き立てています。添えられえているポレンタと一緒にいただきます。


ドルチェは、イタリアでは欠かせない小さなケーキの詰め合わせ「Pasticciniパスティチーニ」。一口サイズのケーキを2~3個取り分けていただきます。


冬の特別料理「野生のイノシシ肉」は、この時期だけ楽しめるイタリア自慢料理です。良質な味を、大勢の人と食卓を囲み冬の恵みをいただきました。




カステロフランコ・ヴェネトでいただく伝統料理


ヴェネト州カステロフランコ・ヴェネトは、ヴェネッツァから車で約30分の距離にあります。人口は、33000人ほどで穏やかな町。

ルネサンス期に活動していた有名な画家ジョルジョーネの出身地でもあり、町の大聖堂には、ジョルジョーネの作品が飾られています。


旧市街は、中世の城壁と塔に囲まれています。冬の間はライトアップされており美しいサンセットが楽しめます。


カステロフランコに住むディナさんが、ヴェネト州自慢の料理を振舞ってくれました。


プリモは、チキンブロースとトルテリーニ。プロシュートが包まれています。


冬になると、パスタを温かいスープで食べることが多いです。ブロースは、骨付き鶏肉、セロリ、人参、玉ねぎでシンプルに作り、冷凍してストックすることもできます。


メインは、ペアラソーズでいただく牛肉とコテキーノ「Bollito con peara」。


Bollito」ボリートという言葉の意味には、ボイル(茹でる)という意味があります。

Peara」は、ヴェネト州ヴェローナの郷土料理で、パンと牛骨髄から作るソースです。じっくり煮込んだお肉をペアラでいただきます。


茹でたアーティーチョークなどの野菜も添えられおり、野菜が苦手でもペアラと一緒にいただくといくらでも食べられます。

牛肉は、じっくり煮込んでいるのでさっぱりとして柔らかく、コテキーノは脂の多い印象がありますが、パンが練り込まれとろみのあるペアラをかけて食べると重たくなりません。


欠かせないのは赤ワインです。アマローネと一緒にいただくのがヴェネトスタイル。


食後のグラッパも忘れてはいけません。お腹いっぱいでもヴェネトのポリでお腹を休め翌日に備えます。


ヴェネト州ならでは、ワインと食を存分に楽しむホームパーティーでした。



冬にぴったり!チーズをとろりとかけていただくラクレッテパーティー


イギリスノッティンガムに住む友人宅へ訪問しました。

ロンドンから電車で約1時間半の距離にある街は、ノッティングガムキャッスルや、ロビンフッドの住んでいた地、バットマンの撮影場としても有名です。

街全体は、ノッティンガム大学が大きな面積をとり、隣接した公園には野生の鹿を見かけることも。人口は約331 000人と多いですがほとんどが大学関係や学生が半数を占めています。そのため、街中にはパブが多く目立ちます。


イタリアからアペロールとプロセッコをお土産に、プロセッコでホームパーティーをスタート。


ドイツ人の友人がおもてなししてくれたのは「Racletteラクレッテ」。

スイスの料理ですが、隣の国ドイツでも人気とのこと。レストランでいただくラクレッテのようにとろっと大きなチーズをお肉やポテトにかけるのとは違いますが、自宅ではラクレッテマシーンを使用してチーズを溶かして食材の上にかけていただきます。


ラクレッテマシーンがテーブルに用意されており、ベジタリアンの友人のため野菜を中心に、定番のポテトや牛肉、串刺しにされた鶏肉や豆腐、ポレンタのスライス、Wurstel(ソーセージ)などユニークな食材も並びます。


好みの食材を鉄板で焼き、下の段でチーズを溶かします。

ロケットサラダにもチーズを乗せ、中でも一番のおすすめはチーズを溶かしてバゲットにトッピング。溶けたチーズをかけるとなんでもコンフォートフードになります。


ラクレッテチーズは、濃厚でソルティーな味わいのため様々な食材と相性が合います。

スライスされたラクレッテチーズ以外にも、チーズを用意して好みを探します。

チーズとワインで1日中楽しめラクレッテマシーンはホームパーティーに最適です。



ヨーロッパのホームパーティー


冬になると家族や友人と自宅で食事をする機会が増えます。美味しい料理とワインは世界共通。さらに、テーブルセッティングも、目を惹くようにコーディネートされており、それぞれ食器にもこだわりがあります。ホームパーティーで会話が弾み、体の温まる料理とワインが冬の寒さを楽しみに変えてくれます。