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フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州が誇る土着品種の魅力とは!?
北はオーストリア、東はスロヴェニアと接するイタリア北東部のワイン産地で、中でも優れた白ワインを生み出す産地として有名です。
同州では国際品種も多く栽培されていますが、とりわけここでしか見られない土着品種も多く見られます。
本記事ではフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の土着品種についてお伝えしていきましょう。
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の基本情報
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州は、オーストリア、スロヴェニアの国境、ヴェネト州に接するイタリア北東部のワイン産地です。
イタリア語のほか、ドイツ語やスロヴェニア語が公用語になるなどユニークな歴史背景を持つ州で、人々の頑固で真面目、義理堅いといったステレオタイプなイタリア人とはまた別の顔を持つと言われています。
ワイン産地としての歴史も古く、南部のアドリア海やジュリア・アルプス山脈からの冷気による大きな寒暖差、泥灰土と砂岩、石灰大地、砂質といった複雑な土壌組成など、理想的な栽培環境を持つ州です。
ワイン生産量は全体の80%近くを白ワインが占めていますが、近年赤ワインへの注目も高まっているところがポイント。
さらに国際品種からつくられるワインの評価も高いものの、ここでしか栽培されていないような土着品種からつくられるワインが近年注目されています。
DOCGは4つ、DOCは12を超えるなど生産されるワイン全体のレベルが高いところも特徴。
さらにトレンドのオレンジワインでも一躍有名になるなど、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州はイタリアの中でも今最も勢いのあるワイン産地と言っても過言ではないでしょう。
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州で栽培されるブドウ品種
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州では、数多くのブドウ品種が栽培されています。
同州が、「白ワインの聖地」と呼ばれるようになったきっかけがピノ・グリージョの世界的人気であることから、国際品種に強い産地といったイメージを持たれる方も多いでしょう。
事実、ピノ・グリージョのほかにはシャルドネやゲヴュルツトラミネール、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、マルヴァジア、カベルネ・フラン、カルメネールなどが多く栽培されています。
一方、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州が注目されている背景には、ここでしか出会わないような土着品種が多く栽培されているところです。
・リボッラ・ジャッラ
・シャリン
・フリウラーノ
・ヴェルドゥッツォ フリウラーノ
・ヴィトヴスカ
・グレラ
・ネイティブレッド
・シアノリー
・コルデノッサ
・スキオッペッティーノ
・フォルギアリン
・オジェロット
・ピッコラ ネーラ
・チビディン
・フーマ
・レフォスコ・ダル・ペタンゴロ・ロッソ
これら耳慣れないブドウ品種が多いですが、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の生産者の中にはこれら古代から続く土着品種から優れたワインを生み出し続けています。
もともと1600年台頃には800種以上の品種が存在していたと言われており、現在は200種ほどに減少したとはいえ、かなりの数の土着品種を有しているのが同州の特徴。
イタリアには小都市国家の集合体であり、さらに自家消費ワインを多くつくるワイナリーが多かったことが土着品種が豊富な理由とされていますが、古代の土着品種がこれだけ多い産地はフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のほか見当たりません。
20世紀の初頭までは、オーストリアの南部と見なされたいたフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州だけに、ワインづくりの歴史も大変興味深いものがあります。
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州を知る上で、土着品種の存在は欠かすことができないポイントでもあるのです。
注目すべき土着品種
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州で栽培されている土着品種の中でも、これだけは押さえておきたいといった種を下記の内容にまとめました。
・グレラ
・リボッラ・ジャッラ
・フリウラーノ
・シャリン
・スキオッペッティーノ
・ヴィトヴスカ
それぞれ解説しましょう。
グレラ
グレラは、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のトリエステ県プロセッコが名前の由来となっているブドウ品種です。
何となく耳にしたことがあるといった方も多いかもしれませんが、これはあの世界的に大流行しているプロセッコを生み出すブドウ品種であり、コッリ・エウガネイではセルプリナとも呼ばれています。
もともとプロセッコ種といった形で呼ばれていたものの、産地名と一緒であること、またプロセッコの名がほか産地で濫用されていた背景からフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のプロセッコ生産者たちがグレラ種に変更したといった逸話もあるようです。
青リンゴや白桃、黄色い花といった爽やかで甘い、軽快なアロマとフレーバーが特徴のブドウ品種です。
リボッラ・ジャッラ
オレンジワインの流行によって注目度が高まったブドウ品種が、リボッラ・ジャッラです。
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州だけでなくスロヴェニアでも栽培されている白ブドウ品種で、スロヴェニアではレブラと呼ばれています。
13世紀頃にはすでにフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州で栽培されていたと言われていますが、フィロキセラや国際品種の台頭により栽培面積は激減。
一方、リボッラ・ジャッラはオレンジワインに使用されることが多かったこと、オーガニックワインや土着品種が見直され始めたことなど、これら背景から近年栽培面積が増大していると言います。
洗練された酸味とミネラル感が特徴で、柑橘のアロマが魅力。
ボディもそこそこあるため、オレンジワインにも適しているようです。
フリウラーノ
「トカイ」とも呼ばれていたフリウラーノ。
ハンガリーのトカイと関連性がないことから、EU統合後にフリウラーノといった名前で呼ばれるようになりました。
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州で多く栽培されていますが、ヴェネト州やロンバルディア州などでも見ることができます。
フリウラーノの起源は未だ解明されておらず、1980年代、アメリカ・カリフォルニア大学デービス校によってソーヴィニヨンナッセといった品種と同一種であると見解が示されたものの、イタリア側はこれを反対しています。
イタリア国内でも産地によって呼び名が違っているなど、興味深いブドウ品種として今もなお注目されているようです。
フリウラーノは、緑がかった麦わら色の外観を持ち、野菜やハーブ、アーモンドの花、ほど良い酸味とミネラル感が特徴のワインを生み出します。
熟成能力もあり、偉大な白ワインを生み出すことも可能です。
シャリン
フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州のポルデノーネ県でエミリオ・ブルフォン社によって発見されたという白ブドウが、シャリンです。
ほぼ忘れ去られた存在で絶滅危惧種レベルの品種だったものの、同社によって復活を遂げた稀有なブドウ品種として知られています。
ごくわずかな土地のみで栽培されている貴重なブドウ品種であり、フレッシュなアロマや高い酸味、きれいなミネラル感が特徴のワインを生み出すことで注目されています。
スキオッペッティーノ
スキオッペッティーノは、1970年代に事実上絶滅したとされる黒ブドウ品種です。
ロンキ・ディ・チャッラ社のオーナーであるラプッツィ家が復活させたことで知られており、由来であるスコッピエッターレは「爆発する」といった意味があるなど、非常に興味深いブドウ品種でもあります。
人的介入が少なくても力強く育つとも言われているなど、その強い生命力も特徴です。
フリウリ・コッリ・オリエンターリDOCで多く使用されるブドウ品種であり、ブラックカラント、ブラックチェリー、バラ、カシス、スパイスなどのアロマ、高い酸味のミディアムボディのワインを生み出します。
熟成能力もあるほか、陰干しされたものなど幅広いスタイルに対応可能。
リボッラ・ネーラとも呼ばれます。
ヴィトヴスカ
トリエステ県、スロヴェニア国境付近で栽培されていた品種として知られているのが、ヴィトヴスカです。
スロヴェニアに起源を持つと言われていますが、未だその起源は不明です。
グレーラとマルヴァジア・ビアンカ・ルンガを親に持つ品種で、こちらの品種もほぼ忘れ去られていた過去があります。
「カルソ」地区の名門ワイナリーであるカンテが復活させたと言われています。
ブレンド用として使用されていたブドウ品種ですが、近年その個性を発揮するため単一品種で醸す生産者も増えてきているようです。
リンゴや洋ナシ、フレッシュな酸、硬質なミネラリティが特徴。
余韻も長く、偉大な白ワインとなる可能性が期待されています。
フリウリのおすすめ土着品種ワイン
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州では、近年古代の土着品種を使用した優れたワインを多く生産するワイナリーが増加しています。
忘れ去られていたブドウ品種をブレンド用としてだけでなく、単一品種で醸す優れた醸造技術を持つ生産者のワインは高く評価されています。
ここからは、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の土着品種を使用したおすすめのワインを紹介していきましょう。
Monviert Schioppettino モンヴェエスキオペッティーノ
ウディネ県にある“コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ”のワイン生産地に位置する、モンヴィエ社。
その土地とともに生きて、伝統と新技術を切り離さず、栽培する葡萄の特別性を表現するワイン造りを目指す名門ワイナリーです。
1950年代に現在90才になるピエトロ氏が設立された老舗ワイナリーで、現在はフルビオ氏の息子であるアレッシオ氏、キアーラ女史、ステファニャ女史で家族経営されています。
「モンヴェエスキオペッティーノ」は、スキオッペッティーノ100%の赤ワインで6日から8日間程アルコール発酵、圧搾後ステンレスタンクにてアルコール2次発酵を行ってから、マロラティック発酵、さらにその後にステンレスタンクで8ヶ月ほど熟成させたこだわりの1本。
小さなベリー系の香りを連想させる香り、生き生きとした、適度な心地よいフレッシュな酸味が特徴のフリウリらしい赤ワインです。
Primosic Think Yellow Ribolla Gialla プリモシッチリボッラジャッラ
コッリオの生産者、プリモシッチ。
この地域原産の地品種リボッラ・ジャッラに力を入れている注目の生産者です。
彼らの造るオレンジワインはガンベロロッソ誌で最高評価を獲得するほか、カジュアルワインもベーレベーネ誌でイタリア最高の白ワインの評価を獲得する凄腕ワインメーカーとしても知られています。
「プリモシッチ リボッラ・ジャッラ」の原料は、リボッラ・ジャッラのみ。
ステンレス・タンクにてコールド・マセラシオン後、18℃でアルコール醗酵されています。
輝きのある美しい麦藁色の外観。
若い芝生、熟れたリンゴ、アカシアの花など若いリボッラ・ジャッラらしいアロマ。
酸味が豊かでシトラスの香りと優しいミネラル感がアフターに残る、上質な1本です。
Venchiarezza Vigna del Tempo Bianco ヴェンキアレッツァ ヴィーニャ・デル・テンポビアンコ
フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州、チヴィダーレに位置するワイナリー、「ヴェンキアレッツァ」。
オーガニックワインの生産者として名高く、ワイン以外にも希少ともいえるオーガニックオリーヴオイルの生産を行っています。
「ヴィーニャ・デル・テンポ」はフリウラーノ100%を原料に、除梗、軽い圧搾後、短期間にてのマセラシオン。
さらにモストは18から20°Cに保たれたステンレスタンク内にて発酵され、翌春までワインは酵母と一緒に置かれた後、瓶詰されます。
花や熟したフルーツ、サフランやタイムのアロマ。
土着の同品種らしい、丸みを帯びた味わいの中に香り豊かなアーモンドを感じます。
単独で食前酒としても使えるほか、腸詰肉加工品、チーズ全般などと相性が良い1本です。
Kante Vitovska IGT カンテヴィトヴスカ
トリエステの程近くカルソに位置する生産者、「カンテ」。
イタリア最高の白ワインの造り手の一人とも称えられる生産者で、一族は1840年頃からこの地でワインを造っている歴史ある造り手です。
さらに現在のオーナー、エディ・カンテ自身も、カルソのDOC認定の立役者で、カルソのコンソルツィオ(協会)の初代会長。
カンテは物事の本質のみを追求するため化学肥料等の使用は一切行わないものの、ビオ・ロジック、ビオ・ディナミの認証には興味がないといったこだわりを持った生産者。
SO2は瓶詰め前に極少量添加するのみです。
そんなカンテが醸す1本が、「ヴィトヴスカ」。
ヴィトヴスカを原料にマセラシオンは行わず旧バリックにて発酵後、同容器内で12ヶ月熟成を経て瓶詰めされます。
リンゴや洋なしの果実の香りと冷たいミネラルのアロマ。
ミネラル感は硬質で、酸はとても伸びやかです。
テクスチャーをしっかりと感じる、落ち着いたエレガントな1本です。
まとめ
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州は、イタリアきっての「土着品種の一大産地」と言っても過言ではありません。
ここでしか出会えない味わいがあるほか、国際品種とのブレンドもフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州でしか出会えない味わいになります。
聞き慣れない品種も多いですが、土地の味を知るには土着品種からつくられるワインを楽しむことが一番です。
ぜひ、本記事を参考にフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の土着品種からつくられたワインを楽しんでみてはいかがでしょうか。