2025/01/01 当社ソムリエ:田村

果実先行のマンドゥーリアとは違う、
ジョイア・デル・コッレのバランス型プリミティーヴォ
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田村 智大
日本だけではなく世界中で大人気のプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアとは一線を画す、
完成度の高いエレガント・プリミティーヴォ。
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ワイン名:Fatalone Gioia del Colle Primitivo 2022

産地: プーリア州 赤

特徴: 果実先行のマンドゥーリアとは違う、ジョイア・デル・コッレのバランス型プリミティーヴォ。

【おすすめポイント】
皆さんはプリミティーヴォのワインといえば、どこのプリミティーヴォを思い浮かべるでしょうか。 日本でも大人気の果実味の凝縮感が特徴のプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアだと思います。
温かみのある柔らかい質感と豊かな果実味はまさに万人受けするワインで、プリミティーヴォディマンドゥーリアのワインであればある程度味わいを想像することができるため、はずれがないワインです。
近年のプーリアワインの人気はプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアが牽引してきたといっても過言ではないと思います。
ただ、今回おすすめするプリミティーヴォは同じプーリア州でも少し北側の標高が高い地域で造られる果実味だけではない非常にバランスの取れた仕上がりの”ジョイア・デル・コッレ”のプリミティーヴォです。
日本ではあまり馴染みがありませんが、イタリアのワインガイドでは高評価を獲得しているワインも多く、知る人ぞ知るプリミティーヴォのアペラシオンです。
このワインの生産者であるファタローネはこの地域を代表する自然派ワインの生産者でもあります。
ナチュラルに造られていますがオフフレーバーなどのネガティブな要素は全く感じることがありません。
プーリア州のワインなのでブドウも糖度があがり、アルコール度数も16度まで上がりますが、果実味が抑えられ、酸もしっかりとあり、柔らかなタンニンも感じるため、全く飲みづかれることがありません。
煮込みの肉や鴨のローストに合わせたくなる味わいです。
諸説あるようですが、イタリアのプリミティーヴォの発祥はこの地域(ジョイア・デル・コッレやお隣であるバジリカータ州マテーラ)ともいわれています。
いつもプリミティーヴォを好んで飲まれるお客様にジョイア・デル・コッレのプリミティーヴォをおすすめして違いを楽しんでいただくのも面白いと思います。

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ファタローネについて

多くはジャミーで濃厚、暑苦しい味になるのが、プリミティーヴォ品種。その数少ない例外である、フレッシュさと美しいミネラル感、卓越した調和の妙を感じさせる生産者。父からワイン造りを学んだ後、セラーにはスピリチュアル・ミュージックを流すなど、独学で多くの試みを行う当主パスクアーレ。プリミティーヴォ栽培の最重要点は、ラチェーミと呼ばれる第二新梢にできる房を残すことと語る。ラチェーミは他の房より遅く熟すため、通常のブドウ栽培では芽かき作業中に取り除かれる。しかし酷暑のプーリアでは、ラチェーミを残すことにより、本収穫用のブドウが熟せば、その後はブドウの樹がそのエネルギーをラチェーミにまわすため、ブドウが過熟し酸を失うリスクを回避できる。仕立てもブドウがゆっくりと熟すよう、除葉をひかえ、強烈な日光から葉の陰で房を守るよう、キャノピー・マネージメントも徹底する。しかもワイナリーの立地は高台にあり、常に流れる風が熱を和らげてくれる。ワイナリーの信条は「ブドウ樹を人間と同等に扱い、たえず愛情に満ちた人間の手で注意深くケアすること」。かくしてジャミーとは無縁な洗練されたバランスとほど良い熱気が伝わってくる、プリミティーヴォの傑作が生まれる。



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