リエチネは秀でたエレガンスと複雑味を併せ持つとされるガイオーレ・イン・キアンティ内の山の麓の集落、「リエチネ村」にカンティーナを構 え、標高400~600メートルの16haの畑からワインを造り出しています。収量はブルゴーニュのグランクリュ並みの25~30hl/haという低さと徹底的に質の良い上質の葡萄のみを選別してワインを醸造しています。リエチネの原点ともいえるキャンティ・クラッシコはエレガンスと複雑味、ベルベットのような滑らかでまるみのあるタンニンを持つ「クラッシック・キャンティ・クラッシコ」です。
外観は中程度の濃さを持つ紫色、ディスクや粘性もしっかりとしており、凝縮感が感じられます
香りは赤や黒の小さなベリーを中心に、すみれや小さなバラのようなフローラルな香りが華やかに香る
白檀のようなわずかな木質のニュアンスとバルサミックなトーンに、黒いスパイスの香りがわずかに混ざります。
第一アロマである凝縮感のあるブドウの香りが中心。
アタックはミディアムボディーの辛口
アルコール度数13.5%、辛口でありながら凝縮した果実の旨味が充実しており、混在するようにしなやかな酸味が伸びていきます。 ミッドからも砂や岩のようなテクスチャーを持つ、しなやかなタンニンが伸びていき余韻も長く芳醇
全体的に持続性や成熟度、複雑味のバランスに長けたワインで22年と言う若いヴィンテージでありながら既にまとまりがあり飲み頃という印象を持ちました。
2018年以降、リエチネのワインのスタイルがとても洗練されたように感じますが、今までの洗練度合いにぶどうのピュアな凝縮感が加わった印象を22年に持ちました
抜栓からワインが開くまでにわずかですが時間がかかる印象です。
使用するグラスはブルゴーニュなどフラワリーな香りと果実味のポテンシャルを開くようなサービスを心上げると良いでしょう 。滋味が強いので今の時期のキノコ類や根菜と合わせたり、トリッパやモツなど内臓類と合わせるのも面白いかと思います。
Riecine Chianti Classico
リエチネ キャンティ クラッシコ
リエチネの原点。15日間の主発酵と5日のカッペッロ・ソッメルソ。気軽さもありながら15年はゆうに熟すポテンシャルをもちます。年産約45000本。
テロワール: 石灰岩と粘土
高度:450-500 m.s.l.
葡萄園: キャンティのガイオーレ(SI)。ICEAによる認定オーガニック
ブドウ園の年齢:10-30年
収穫: 9月/10月。2つの選択肢で手作業でピッキング:フィールド内とソート振動テーブル ワイン: プロットで区切られています。ワインはオープンノンブロットコンクリートタンクで発酵しました。約10日間浸軟し、圧搾
熟成:古いトノーで11ヶ月。少なくとも3ヶ月のボトル熟成
コルクの種類: 天然コルク。
生産者: リエチネ - Riecine
地域: トスカーナ
アルコール度数: 13.5%
タイプ: 赤
品種: サンジョヴェーゼ
飲用適温: 16-18℃
ワイナリー情報:
2016年からの醸造長であり共同経営者でもあったアレッサンドロ・カンパテッリが2024年春からリエチネを買い取り、単独オーナーとなり
ました。カンティーナのオーナーと実際のワインのつくり手が異なるのはこの地では一般的で、リエチネもその設立からイギリス人からアメリカ人、
2011年からはドイツ系ロシア人へとオーナー権が次々と移り、その節目節目でマーケティングや味わいの方向性が少しずつ変わってきたた
め、素晴らしいワインをつくっているにも拘わらずそれが見えづらいという変遷をたどってきました。
2016年秋、ショーン・オキャラガンからの突然の交代はそれからの数年にわたって彼を不安にさせたことでしょう。しかし、謙虚さと人一倍
の努力家のアレッサンドロはリエチネの先人であるカルロ・フェッリーニやショーン・オキャラガン、ティム・マニングからの助言に素直に耳を傾け、
自分の信念の肉付けとしてきました。その結果が2021年のジューリオ・ガンベッリ賞獲得につながったのです。この功績は業界にかかわる
方であればどれだけ大変なことか分かるでしょう。これは推測ですが、自分の人生は自分で切り開いていきたいという思いが、この買収に繋
がったのでしょう。リエチネの歴史と功績を一身に背負うのはとてつもなくリスキーですが、そのリスクを負っても信念を貫きたいという彼の姿
勢は見事という他ありません。
リエチネは秀でたエレガンスと複雑味を併せ持つとされるガイオーレ・イン・キアンティ内の山の麓の集落、「リエチネ村」にカンティーナを構
え、16haの畑から年間約80000本をリリースしています。リエチネの創設者ジョン・ダンクレーはその妻パルミナ・アッバニャーノとともに、自
らが理想とするワインづくりのためイギリスからやってきました。1971年、バディア・ア・コルティブオーノが所有する修道院の近くのブドウ畑
1.5ヘクタールを購入。古い石でできた建物をカンティーナとして修復しながら、少しずつブドウ樹の植え替えを行っていきました。
そして、夫妻の以前からの友人でもあった若きカルロ・フッェリーニとともにつくりあげたキアンティ・クラッシコ1973(当時はヴィノ・ダ・ター
ヴォラで1975年のリリース)はその味わいと品質の高さによって世の賞賛を浴びることになるのです。カルロ・フェッリーニ21歳のことでした。
【ブドウ畑について】
リエチネのブドウの畑は合計で15ha。極端な雹害や霜害からブドウを守るため、ガイオーレ山中の標高400~600メートルの間に14か
所に点在(内2つのプロットがレンタル)。一つのプロットは最大で2.5haの「ジットーリ」や2.0haの「テオドーロ」でそれ以外は殆どが1ha
にも満たないという小さなプロット揃いです。それぞれに植わるサンジョヴェーゼのクローンタイプや樹齢が異なることに加え、プロットごとに異
なる土壌構成と斜面を持つことから、ひとことでリエチネのサンジョヴェーゼといってもプロットごとに全く味わいが異なります。(土壌もマチー
ニョからアルベレーゼ、ガレストロ、粘土石灰と様々)
畑ではビオディナミコを一部取り入れた有機農法で栽培されています。除草剤や殺虫剤は一切使用せず一部の畑ではプレパラートを
使用。また土の浸食を防ぎ、土壌や生態系を出来る限り自然の状態に近づけるために、畝に生える下草をそのままにしています。8月後
半に摘葉、9月最初の2週間にかけて最後の摘果。選果は2回にわたって行われます。まず、摘み手がブドウの樹からよく熟れてキズのな
い房のみを選ぶこと。その時点で傷のあるもの、腐敗果のある房はそのまま地面に残され自然に還されます。そして除梗前、振動選果台
の上で最終的なチェックが行われ、最高の品質をもつブドウのみがリエチネのワインとなります。この工程を経て得られる最終的な収量はブ
ルゴーニュのグランクリュ並みの25~30hl/haという低さになります。
【醸造について】
リエチネのワインづくりは、いわば「クラフトワイン」と言えるほど、醸造家の芸術的な観察力と技術力によってなしえる最良の例と言ってよ
いでしょう。 収穫の前にプレハーヴェストから得られたブドウを優しく手で搾り、自生酵母の
株(ピエ・ド・キュヴェ)を準備しておきます。この自然由来の酵母の力を利用
することで、ワインに土地固有の個性を表現することを可能にします。この濃い
自生酵母まじりの果汁は55HL入りのノンブロやより小型のCLC製キューブ型
セメントタンク、そして一部12HL入りのトロンコ・コニコにプロットごとに振り分け
入れられたブドウに注ぎ足され、いよいよ発酵のプロセスに移ります。全房の割
合はヴィンテージにもよりますが概ね10%~15%。
また、それぞれの発酵槽では果汁の約10~20%が抜き取られますが、この
工程は果汁に対する果皮の割合を少し高くすることで、より複雑味あるワインを
造ることを目的としています。全てのブドウを自生酵母で発酵させるため、様々
な種類の酵母が複雑に絡み合いながら非常にゆっくりと、約30~40日という
長期間にわたり約28℃前後までを許容し、アレッサンドロの厳しい管理の下で
発酵が進みます。発酵の途中、一日に4回のパンチングダウンを行うことを基本
としていますが、55HLのセメントタンクでは一日に4回ポンピングオーバーされ、
上部の果帽は素手でパンチングダウンを行います。また発酵の間、温度が一定
基準を超えそうになった時点でデレスタージュ行い(ブドウの発酵中に果汁を
別タンクに移し変え、数時間後にもとのタンクに戻す工程)、酸素量を増やしな
がら発酵温度が上がりすぎないように注意を払っています。発酵終了後、ラッキ
ング(澱引き)を行い、それぞれの発酵槽でしばらくワインを落ち着かせた後、
これもプロットごとに熟成プロセスに移ります。
熟成にはバリック、700Lのトノーや伝統的な30HLのボッテの他エッグタンクを使用。リエチネIGT や“ラ・ジョイア”の場合は24~36ヵ月、キャンティ・
クラッシコの場合は12~18ヵ月熟成されます。熟成の後、ワインはボトリン
グ前にアレッサンドロによって最終選別とブレンドがなされます。万が一、ブド
ウ、またはワインが醸造過程において私たちの厳しい品質チェックにそぐわな
い場合、それらがリエチネのワインとして瓶詰めされることはありません。
醸造家にとって、それぞれのプロットに分けて熟成させることこそが究極の
ブレンド比率を見出す秘訣ともいえるでしょう。